全数検査

一品毎 私の読み

日本語下手な私が、コンテキストセンシティブについて語るわけにもいかないけれど、私には記録を取る作業がある作業に対して「一品」ごとにと書いてあれば、普通は製造した製品1つ毎にと取るのが普通だと思います。つまりロット毎にやれという記載と考えるのが普通だと思います。

一品目毎 本

電気用品安全法関係法令集―電気用品安全法関係法令及び解説〈平成16年10月改正〉 page 43には解説が書いてある
ここでは、すべての品目について事業者に対して検査の実施及び検査記録の作成、保存を義務付けているとある。
3(5)を参照
で、3(5)には何が書いてあるかというと、

(5)検査の方式
「危険の発生防止」が規定されていることから、全数確認すべきとされたものである。

と書いてある。とりあえず、法律の専門家に聞いて見るかな。最低の1.5万じゃ答えてくれるのかな。何しろ「電気用品の障害」と書けば「電波障害」と解釈するという説明を付けてくるのだからなああ。

一品毎に 法律解釈の流れのまずさ

http://d.hatena.ne.jp/hmori/20060402#p1 にも書いたのですが、省令への誘導により、省令でどうとでも変更が出来る法律なのも問題です。
電気用品安全法(基準適合義務等): 第八条 : 2節

2.  届出事業者は、経済産業省令で定めるところにより、その製造又は輸入に係る前項の電気用品(同項ただし書の規定の適用を受けて製造され、又は輸入されるものを除く。)について検査を行い、その検査記録を作成し、これを保存しなければならない。

ここを根拠に省令でコントロール出来てしまいます。法案を通過する時にこういう箇所が無いか調べるのが国会の責務という事になるのでしょうか?>法律に詳しい方
ちなみに、この箇所は、旧法でも同じで、変更点は「通産省令」が「経済産業省令」になっただけです。

一品毎に 計測メーカ キクスイのpdf 2001年ごろ

http://www.kikusui.co.jp/knowledgeplaza/from_saws/07_denanhou.pdf

(4)全数検査の義務付け

後付じゃないかな

法律改正時に伝わっていたのだろうか?
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S37/S37F03801000084.htmlを参照してみてください。
"令別表第2に掲げる電気用品について行う検査"を検索してみてください。
この項目は”別表第三 検査の方式 (第11条関係)”の中の”2項目目”にあります。
何かおかしいと感じませんか?、これは別表第3の説明です。この中で別表第2を参照しています。どちらにしても、省令でして。。ひどいことをやるなあ。と感じます。

1200V/1秒

省令の中ですが、かなりの箇所で、「同等以上の検査方法」というのがあります。実際、工場ラインで1分もかかるテストはあまりやりたくないでしょう。
なので、同等以上のテストという基準みたいなのがあるんじゃないかと思います。nakaさん所でも書いてあった。1200V/1秒とか2KV/1秒とか色々説があるようです。
追記:J60065の附則の所に明記してありました。要約としてはピーク電圧で1,130Vピーク電圧/1秒以上やればいいそうで。ACの場合は800V (r.m.sとの記載あり)で良いらしい。同等以上とは思えないけれど、まあいいか。
追記: http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/kaishaku/q&a/20041129/J60065fuzokusyonotoriatukai.pdf - こういうガイドラインがあるので大丈夫だそうです。オーディオなどのJ60065系使っている場合は800V/1秒でいいそうです。またこの中で1.2倍の電圧/1秒というのは認めているようです。
実際に1分かけてテストしている所も思い切り可能性が低いけれど、あるんじゃないかと、私は考えます。振動テストなどのように時間がかかるエージングに近いテストを行う工場もあるので、ついでにやってしまう。振動テスト中に行った方が問題が出やすいから、結果として市場に出てからトラブル起こさずサポートにかけるコストが下がるでしょ。
あと私の知っている非完成品の電源ユニットの工場では4KVで、他の検査も込みで10秒でやっていたので、多くても5秒程度しかかけてないでしょう。さすがにメーカ。その管理のための自動化技術はそれはすごい物でしたよ。

劣化するか?

入り組んでいるので、項目を追加します。要約を説明すると、PSE法施行後(2001年以降)のメーカ製は追加で1度程度は何もせずに試験しても耐える可能性が高いと思います。逆にそれ以前の物は劣化する可能性があります。
劣化する可能性が高い部品は、Yコンデンサと呼ばれる、電源と装置内グラウンドの間に入れられるノイズ除去のコンデンサーです。

古い製品との基準の違い

完成品に対する試験が必要になったのはPSE法が施行されてからです。また、基準自体が2つの基準に増えました。省令第1項(電気用品取締法時代からある日本古来の基準)と同省令第2項(IEC規格を日本の風土、事情などを加味して作成したIEC-J規格)の2種類です。
どちらを選ぶのも製造メーカの自由です。
また、検査時はこのコンデンサを取り外して行ってもよい事にはなっています。

古い機器では 1980年ぐらいより前

全数検査はありませんし、安全基準では取り外しても良いので、試験した後の製品の劣化に対してメーカは気にする必要性はありません。
ですが、この製品に対して、対策もせずに検査を行うと劣化する可能性があります。

古い製品では 1995年ぐらいから2000年ぐらい

ここでも全数検査はありませんし、安全基準では取り外しても良いので、試験した後の製品の劣化に対してメーカは気にする必要性はありません。
ただし、この製品は耐える可能性が高いです。要因の1つはコンデンサの質が向上した事があげられます。海外の規格のIEC 60384-14というのがあって、輸出用の機器にはこれが使われるようになり、部品として安価になったので、大体これに準拠するパーツが使われるようになっています。
このコンデンサーは劣化するかもしれませんが、1度は1500V/1分に耐えれるように設計されている基準をクリアします。コンデンサーを作っているメーカにもよるけれど、数回のテストや、連続テストしても製造後何年かは劣化も起こさないように作ってあるメーカもあります。
ただ、確実にこのパーツが使われているとは限りません。

PSE法が施行されてからは 2001年ぐらい以降

基本的には1つ前のと同じですが、コンデンサーメーカも高耐圧の設計に慣れてきて、テストを何度やっても大丈夫と言い切るメーカも出てきています。ただし、経年劣化までは考慮に入ってないので古くなった製品が大丈夫だとは言い切れないとコンデンサメーカも言っています。あるコンデンサメーカいわく、現状で作っているコンデンサは10年20年ぐらいは大丈夫ですよ。なんて言っています。
ただし、本当に全て大丈夫かというと、心配な点はあります。
ともあれ、完成品に試験が義務付けられているという認識があるメーカが多くなったので、安価になったコンデンサという現実もふまえ、劣化しない、あるいは劣化しにくいコンデンサーを使用しているメーカ製は確実に増えていると思われます。

劣化しないコンデンサーに変えればどうか?

部品を変えるのは、厳しく言うと駄目です。PSEは電波障害に関する規則が少ないのでいいのですが、他の電波障害の基準をクリアできないかもしれません。これを調べるのは、とってもお金がかかります。まあ、それは別の話として。
じゃあ、交換してしまえばいいんじゃないか?という話ですが、このコンデンサーを外すのはとっても大変です。手元にあるビデオデッキをばらしてみましたが、戻す事を考えて分解すると少なくとも2時間はかかりそうです。また、下手すると再調整しないとならず、無理な機器が多くあります。昔みたいに、電源基板が別れていたら簡単だけど、1990年以降は無理だと思います。しかも、改造にあたりますから、元々のマークの責任も無くなってしまいます。

試験時コンデンサーを外してよいか

技術適合のための情報を参照しないとわかりませんが、J6065によると、IECに準拠しているコンデンサーなら外してもいいそうです。また、技術基準は変わってないという発言もありましたから、もう1つの技術基準である日本独自の技術基準では少なくとも外して試験しても良いはずです。私には資料の入手方法がわかりません。

全数検査は悪いのか

今作っている製品にやることは良いことですし、良い部品も増えてきたことだし、今後は規格として、今後は2KV/1秒程度の試験を流通後どこがやっても良いようにすれば良いと思う。
ただ、過去の製品に対してやる事のメリットというのは無い。せいぜい100Vが漏電していないか調べるので十分なはずだと私は思う。
問題は絶縁ではなくて、ケーブルの劣化などなんだから、中古屋に馬鹿な事をやらせるのはやめて貰いたい。