DCX2496 を効果的に使うには

かなり前に、DCX2496 を使って、マルチアンプにするかもしれないと、私が書いた日記に対して次のコメントがあったのですが。
今、ちょっと興味を引いて書いています。

ohryoryo 『はじめまして。「壮大な計画」期待しています。ちなみに私の素人なので、AX-V8000+DCX2496+PM8100 を考えていました。』

見ながら考えています。

マルチアンプ構成には、機器の自作より難しい調整があり、デジタルチャンネルデバイダーは、その調整を簡単にする遅延調整や、カットオフに減衰特性を調整する機能や、位相を調整する機能があり、多分、どんな構成でも、1箇所で聞く分には調整可能だと思います。
ただ、それが、本当に聞いた感じどうなのか?というと、それは違うというケースが多いと思うし,実際調整には多くの測定器が必要です。
もっとも、パソコンに、ちょっと高性能なサウンドカード(例:Maya 5.1程度)を付けて、ファントムマイクアンプ付けて,ECM8000マイクという構成で、シュアウェアやフリーの波形エディター、FFTアナライザーを行うソフトを付ければ、立派な測定器にはなるので、それほどコストはかならないにしろ。いじれる個所があれば、それだけ、苦労をするわけでして。まあ、あんまりお勧めしないのです。
で、AX-V8000 は、AVアンプですね。デジタル入力できる。でも、DCX2496 はアナログか、デジタル2CHを受けて,6CHにするタイプなので、DCX2496のソースにするには難しいと思います。
5.1ch サラウンドをマルチアンプにするような、マニアックな人は、そう居ないと思うので(そういう事はPA屋がやるけど)何がしたいんだろう。と疑問。
PM8100 プリメインアンプ?、これをメインアンプとして使うとなると、ボリューム調整大変だよなあ。
大体,AX-V8000 て、定価35万もするようなシロモノじゃないか。
それも、デジタル5.1CHで入力するか、内部のホール感を出させて2chを立体的に見せる機能付き。これを繋ぐのは難しいと思うぞ。

私は、最近のハイエンドオーディオ装置のレベルを知らないから、正しいかどうか、わからないけど、確かにAX-V8000の内部の作り方や、パワーアンプの構成、ビデオ入力がオーディオに与えないようにする配慮はすばらしい。多分,AVアンプとして、これ単体でスピーカーに繋いでいる分には良い音を出すと思います。
ただ、このアンプをコントロールアンプとして、使うならば、まず第一にAVアンプゆえに、オーディオから見ると不味い回路が入っているという点で問題。
多分、このアンプをメインアンプに使う事を考えていると思うのですが(7.1ch アナログinputがあるから)そうすると、このアンプが持っているAV機能、DSP機能などは全く使われない。
本当に、その状態の使い方に、このアンプの設計者は費用バランスを考えているのか。という疑問がある。
それに、ハイエンドオーディオ機器は、本当に音がいいか、というのを見ないとダメ。その時に、もし、このAX-V8000をボリュームも付いたメインアンプという位置付けで使うならば、そういう使い方で試聴できる場所を探して納得できなきゃだめだと思う。
それには、ある程度自分が満足できる2chのソースを、このアンプにつないで、普通の2chのスピーカを繋いで、少なくともおかしい?という部分が無い限り、私ならいくら金があってもやらない。
シンプルな構成で成功しない物は、複雑な構成にしても、絶対に成功しない。そういう事なので、金をドブに捨てる前に考えてください。
また、DCX2496の弱点問題は次の所です。

  1. デジタル入力で入力しない限り、内臓のA/Dを使ったアナログ入力はどうやってもよくない。
  2. 出力はアナログ出力なので、この後で高性能なD/Aを繋ぐ事が出来ない。したがってDCX2496の限界がシステム全体の音を決める要因になる
  3. 出力はバランスで受ければかなり良いが、単純に片方だけをつなぐ構成にすると、DCX2496の中に入っているDACの性能の1bit分以上の情報量を無駄に捨てる事になる。
  4. 入力にデジタルを使った場合、内部の演算の中でアッテネートしない限り,出力レベルは0dBが7V程度になる。アッテネートするとDACの部分で必要なビット数が減ってしまう。この7Vをパワーアンプに行くまでになんとかしないといけない。

そんなわけで、純粋にオーディオ装置として使うとなると、このデジタルチャンネルデバイダーは使いこなしが難しい。
特に、このバランス出力を非バランスにして、一括して、ボリュームコントロールする部分が、市販でよい物がない。5.1CHのアンプを使うという方法でボリュームは解消できるかもしれないが、バランス変換と、さきほど書いたAVアンプはオーディオ的にどうだ?問題が出てくる。
これを、自分の手でなんとかしないと、まず無理です。
出力アッテネーター付きのデジタルチャンネルデバイダーを探した方がいいかもしれない。ただ、デジタルチャンネルデバイダーは、完全に音を左右する装置だと思う。
どちらにしても、私は、マルチチャンネル構成のオーディオシステムはおすすめしない。10中8,9良い音にはならない。